インプラント駒津歯科レーシングチーム 第二幕スタート!・・・(2004年5月 全日本選手権筑波大会)
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昨シーズン(2003年)、9月の全日本SUGOでバイクを大破させて終わってしまったため、このシーズンオフはバイクには全く乗らず、マシンの修復に時間とお金を掛けてゆっくり過ごすことになりました。
「まあ2004年シーズンまではたっぷり時間があるし・・・」
などとのんびり構えていたら、アッという間に年が明け、気が付いたらもう3月・・・バイクが完成するころには、今年のメインイベントのひとつである5月の全日本筑波が2ヶ月後に控えた3月の中旬になってしまいました。
「シーズン初乗り」というのは毎年のことながらとても緊張します。
特に今年は約半年間丸々バイクに乗っていません。
今年ほどブランクのあったシーズンオフはここ最近記憶にありません。
この緊張の「初乗り」はぼちぼち寒さも和らいできた3月の下旬に行い、30分の練習走行を3回走ってベストタイムは1分2秒台。
昨年の自分のベストタイムから約2秒落ちで走行を終えました。
まあ、「初乗り」としては悪くありません。
ですが、この時点で始動の早かった知り合いのライダー達は仕上がりも早く、すでに1分0秒台で周回しています。
昨年は僕自身もこの時期にすでに1分0秒台をマークしていました。
大本番である筑波の全日本まであと2ヶ月、ここで1分を切って59秒に突入することが今年の重要な目標のひとつです。
昨年果たせなかった59秒に向けて再度挑戦が始まりました。
ところが4月の上旬に行った2回目の練習走行で問題が発生します。
タイムこそ1分1秒台をマークしたものの、コーナリング中のチャタリング(細かい振動)がひどくてとても攻めれる状態ではありません。
高速の最終コーナーなどではもうこの振動との格闘です。
コーナリング中に、
「いいかげんにしやがれ!この野郎(チャタリング)!」
とマシンを怒鳴りつけながら、両手・両足で暴れるバイクを押さえつけながら走っている状態です。
チャタリングというのは本当にやっかいなもので、バイクのどこかにその原因があるのですが、それを特定するのが非常に難しいのです。
とにかく次の練習までに、チャタリングの原因となりそうなものを徹底的にチェックし、対策しました。
決定的な原因を見つけることは出来ませんでしたが、とにかく怪しいと思われる部分は全て対策して3回目の練習走行に向かいました。
正直これだけ対策して再度チャタリングが出るようだったら、もうこのバイクは筑波サーキットに捨ててくる!くらいの覚悟です。
チャタリングマシンではとてもですがシーズンを戦うことはできません。
その3回目の練習走行・・・半ば信じられないことですが、このチャタリングが嘘のように収まっています。
いろいろ対策した項目のどれが効いているのか分かりませんが、とにかく闘えるマシンに戻っています。
この走行では1分1秒台前半までタイムが上がってきました。
今年はこの時点でサスペンション・セッティング以前にタイヤメーカーがまだ決まっていません。
今までずっと使い続けてきたのはダンロップタイヤでいくか、最近評判の良いブリジストンタイヤにスイッチするか、両方のタイヤを交互に履いて特性を確かめていきます。
フロントタイヤに安心感のあるブリジストンとリアタイヤに安心感のあるダンロップタイヤという感じで、どちらのメーカーも一長一短なのですが、レースで使用するタイヤが決まらないことには、サスペンション・セッティングを詰めることが出来ません。
両メーカーのタイヤを慎重に履き比べ、それぞれのタイヤに合計3種類のバネレート(フロントサスペンション)を組み合わせてテストをしていきます。
どたばたといろいろ試していった結果、タイヤメーカーはブリジストン、バネレートはハードという組み合わせが一番好感触を得ることができるようです。
本番はこの方向でトライすることになりました。
この組み合わせでいった4回目の練習走行で1分0秒台後半までタイムアップしてあとは本番のレースウィークを待つことになります。
この時点ではタイム的には手放しで喜べるほどではありませんでしたが、足回りのセッティングの方向性が見えたのでタイム以上に手ごたえを感じることができて良い感じです。
全日本のレースウィークまでの残り2週間で、再度エンジンを全バラにしてクランクを新品に交換、知り合いから購入した新品シリンダーを装着。
全日本1週間前・・・ほとんど新品パーツで構成されたエンジンを仙台のSUGOで慣らし運転をします。
「はっ、速い!」
ここ数年感じたことのないくらいエンジンの調子もばっちりです。
「足回りも決まって、エンジンも絶好調!これなら来週の本番で59秒台絶対にいける!」
そんな感じで全日本のレースウィークを迎えることになりました。
【5/14(金)全日本筑波・公式練習】
前日から降り続けた雨も朝方には止み、コースコンディションはドライ。
1本目の走行では1分0秒台後半のタイムで、21番手につけます。
21番手という順位は予想外でびっくりしましたが、まだまだ関西勢は筑波を走り始めたばかりで、これからどんどんタイムアップしてくることは分かっています。
対して自分は今年に入ってから数回筑波は走っているので、この時点でのアドバンテージはあまり参考にはなりません。
それよりもばっちり決まったと思っていたサスペンション・セッティングに問題が発覚します。
ずっとセッティングしてきたフロントサスは問題ないのですが、リアサスの動きに不安があります。
コーナリング中のバイクを一番寝かすところで、フラフラっと嫌な挙動がでるのです。
この感覚は昨年の筑波でも経験している挙動です。
その時はイニシャルの変更でなんとか収めたことを思い出して、少しだけイニシャルを変更してみます。
しかしながら2本目の走行でもこの嫌な挙動は収まりません。
かなり渾身で攻めているにも関わらずタイムが1分1秒台前半のタイムで走行を終えます。
というか渾身で攻めれば攻めるほどこの挙動が顕著になってくるので手も足もでません。
「59秒台が遠い・・・」
つい先週までもう手の届くところにあると思っていた59秒が、遥か彼方に遠のきます。
【5/15(土)全日本筑波・公式予選】
昨日のリアサスの挙動対策として、さらにイニシャルを大きく変更して公式予選に挑みます。
するとこれがばっちり大当たりで、リアサスの挙動が収まっただけでなく、旋回性も上がって昨日より楽に走っても1分0秒台のタイムが出ます。
「これなら攻めれる!59秒台は夢じゃない!」
と気持ちが高ぶりはじめた矢先・・・今度は別のトラブルが発生します。
オートシフター(クラッチを使わずにアクセル全開固定のままシフトアップする装置)の作動が安定せずに、ときどきシフトアップがうまくいきません。
予選1回目が終わって順位は暫定28位。
予選2回目が始まる前にサーキットの近くのレーシングショップに駆け込み、このオートシフターの部品を買ってマシンに装着します。
とにかく、このオートシフター以外のマシンの状態は完璧で、なおかつ自分自身の調子悪くありません。
シフターさえまともに動けば、予選2回目は期待ができそうです。
そしてその予選2回目が始まりました。
しかしコースイン直後に事態は好転どころか悪化していることに気が付きます。
先ほどまで不安定ながらも動作していたシフターが今度は全く作動しません。
止む無く手動でシフトアップしながらタイムアタックをするものの、筑波を手動シフトで走るのは10年ぶりくらいで全く走りに集中することができません。
とっちらかった走りをしながら、それでも0秒台をマークしているので、ライダー・車体・エンジンの状態は決して悪くないようです。
「こんな走りで0秒台がでるのかあ・・・これでシフターさえ正常に動作していてくれたら・・・」
結果、この2回目の予選では1回目のタイムを更新することができずに、正式結果は29番手で予選を終了することになります。
予選後、マシンを再チェックしてみると、シフターのトラブルは非常に単純な配線のミスであることが判明。
膨大なお金と時間をかけて準備してきたこのレースで、こんなイージーミスで足元をすくわれることになろうとは・・・悔やんでも悔やみきれません。
しかしまだ明日がある。
「明日のレースで絶対に59秒台に入れてやる!」
と意気込んで携帯電話(i-modo)で天気予報を見てみると・・・
予報は雨
「そんな・・・バカな・・・そんな不幸なことがあっていいわけがない!明日は絶対に雨なんか降られてたまるものか!」
そんな願いは虚しく、夜半過ぎから筑波サーキットには雨が降り出すのでした。
【5/16(日)全日本筑波・決勝】
朝から雨は止みそうで止まない微妙な感じです。
今この時点で完全に雨が上がってくれたら、午後の決勝レースのコースコンディションはドライになるはずです。
でも、本当に弱い霧雨のような雨がなかなか上がってくれません。
コースコンディションは、走行ライン1本だけが乾いていて、あとは濡れているような状態。
霧雨が弱くなるとその乾いている面積は大きくなってきますが、霧雨が強くなるとその乾いている1本のラインもすぐに濡れてきてしまいます。
コースコンディションがドライとウェットでは、タイヤも違えばサスペンションセッティングも違ってきます。
どちらのセッティングで決勝レースを走るか、とにかく直前の直前まで分かりません。
スタート前チェックの15分前の状態で99.9%、雨用のセッティングで行くことを決断したにも関わらず、その後わずかに雨が弱まり、回りのチームが一斉にドライ用のスリックタイヤに交換をはじめ、自分もそれに倣うことになります。
もう周囲はどこもかしこもドタバタでまるで戦場のようです。
いよいよサイティングラップが始まり、コースイン。
コースに出てみるとやはり走行ラインだけは乾いていて、そこを外せばウェット状態。
もし、ドライ用のスリックタイヤでこの走行ラインを外して、ウェット状態の路面に乗ってしまったら即転倒・・・というような難しそうなコンディションです。
でもとりあえずこの状況ならスリックタイヤの選択は間違いではなさそうです。
そしていよいよ決勝レースが始まります。
レッドシグナルが消灯してスタート。
いつものようにスタートは失敗して、後ろの列にいる予選下位のライダーに抜かれて、最後尾で1コーナーに侵入。
しかし、スタート直後の密集状態で、各ライダーがその乾いている一本の走行ラインを取り合っているため全体のペースが上がりません。
自分も目の前のライダーを抜きたいのですが、走行ラインを外すと即転倒・・・という難しいコンディションのためなかなか前に出れません。
この時点でひとつ、重大なミスを犯していることに気づきます。
タイヤはドライ用のスリックタイヤに変更したのですが、フロントサスのセッティングが雨用のままだったのです。
雨用のフニャフニャにセッティングされたフロントサスはコーナー侵入時に思ったラインをトレースすることができずに、フラフラしながらアウトに流れていこうとします。
そんな状況と格闘しながらも3周目くらいのバックストレートで1台、その後2周くらいしてから最終コーナーの立ち上がりでさらにもう1台抜いて、この時点で前に見える10台くらいから成る大集団からホームストレートで1本分くらいの差があります。
この集団はなんというか、自分の良く知っているライダーばかりで構成されている面白そうな集団です。
それもここ数年、SUGOや筑波でいつも負けてばかりいたそうそうたるメンバー達ばかりなのです。
「おっ、あいつがいる・・・!あれ、あいつもいる・・・!」
少しづつその集団に追いつくにつれ、その集団の中に次から次へと知り合いのライダーの姿を発見します。
そして何周かかかった後にその集団の最後尾に完全に張り付くことに成功します。
と、その瞬間!コーナーポストで青い旗が振られているが目に入ります。
「えっ、ちょっと早すぎる・・・」
この青旗は自分達の集団が周回遅れになることを告げられる合図です。
トップライダーが自分達の後ろに迫ってきていて、この青旗が振られた周回遅れのライダーは、その迫ってくるライダーのためにラインを譲らなくてはなりません。
このレースのようにラインが一本しかないようなコンディションでは、トップを走っているライダーはその一本のラインを誰にも邪魔されることなく走ることができるので、ペースをほとんど落とすことなく走ることが出来ます。
ただ後続のライダー達はその一本のラインを取り合いながら走るので、必然的にペースが上がりません。
自分が先ほどの集団に比較的簡単に追いついたのも同じ理由です。
なにはともわれ、全日本トップライダーのトップ争いを邪魔するわけにはいかないので、ペースを落として濡れてる路面を走りながら、その乾いているラインをトップのライダーに譲ります。
このペースダウンで先ほど追いついた集団から大きく離されてしまいます。
「あれ?譲ってるの俺だけ???」
その後トップライダーの邪魔にならないよう数周にわたり後ろを振り返りながら走行を続けましたが、先ほどまで目の前にいた集団から大きく離されたことと、これ以上雨のセッティングのまま走り続けるのは危険と判断して、12周目にピットインしリタイヤすることになりました。
毎度のことながら、次から次へとトラブルが襲ってきて、なかなか歯車が噛み合いません。
最終的にいろいろなものが煮詰まってきて「さあ、これから!」というところで、天候悪化・・・・という非常に残念なレースになってしまいました。
ただバイク、ライダーともに良い方向性が見えてきています。
条件さえ整えばブレークの兆し有りです。
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