スタートシグナル・・・(2004年7月4日 SUGOエリア選手権)
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【7/2(金)練習走行】
SUGOの走行は昨年9月の全日本SUGOの公式練習でぶっ飛んで以来10ヶ月ぶりとなります。
まあSUGOは眼をつむっても走れるホームコースなのでブランクはあまり気になりません。
今年のSUGO選手権はチームメイトの小野選手と某チームの河村選手が1分34秒後半のタイムで一騎打ちを繰り広げています。
優勝するためには、この一騎打ちに割って入って、2人をやっつけなくてはなりません。
自分のSUGOのベストタイムは1分36秒1ですが、レース序盤でこの2人のバトルに絡むことが出来たら自然とこの1秒ちょっとの差はなんとかできるはず。
周りはどう思おうとも、そのくらいのタイム差は圏内だと思っています。
さて、金曜日は準備の都合上1本しか練習できませんでした。
この日は昨年の全日本で「やっぱりダメだ!」と一度は結論を出していたショートに振ったミッション・セッティングを再度試してみます。
それなりに攻めているつもりでも1分38秒台を走行を終えてしまいます。
TZに乗り換えて以来、1分38秒台で終えてしまった練習は記憶にありません。
やはりショートのミッションは自分には合っていないようです。
早速ミッションをバラして、いつものセッティングに戻し、明日の走行を待ちます。
【7/3(土)公式練習】
今年のSUGO選手権の公式練習は125ccのバイクとの混走になってしまいました。
125ccと250ccではラップタイムで3秒くらいの差があるので、走っても走っても前から125ccのマシンが現れてきてなかなかクリアラップで練習することができません。
練習中もクリアラップを探して、スローダウンしている時間のほうが長いくらいです。
この日の練習でちょっと衝撃的なことがありました。
コースイン後しばらくして、1秒くらい前方を走るチームメイトの二瓶選手とランデブー状態でペースを上げていると、バックストレートエンドのブレーキングで同じくチームメートの小野選手がイン側から並んできます。
「おっ、小野君まで加わってきた!これでチーム員3人揃い踏みだ!」
小野選手は前述のとおり34秒ライダーですが、練習からタイムを出すタイプではないので、抜かれた時点の予測としては、「しばらく3台連なっての走行になるだろう・・・ちょっと面白そうだな・・・」くらいのものでした。
ところが、自分を抜いて前に出た小野選手はものすごい勢いで、今度は前を走る二瓶選手を射程圏内に納めています。
「うわっ、小野君、すっげー気合入ってる!」
そのまま僕と二瓶君は置いてきぼりにされ、次のバックストレートではもうストレート半分くらいぶっちぎられてしまいました。
「ちっ、小野君・・・何秒で走ってるんだ・・・?」
走行を終わって小野君にタイムを聞いてみると、その周に35秒中盤を叩き出していたらしい。
「・・・35秒ってあの世界か・・・」
この時の小野君の走りは本当にインパクトがありました。
とんでもなく早いポイントでアクセルが全開になってる音がしている。
すべての走りのテンポがワンランクもツーランクも自分より速い。
今の自分にあの走りができるだろうか・・・?
とても自信がない。
今まで自分としては、歯車がさえ合えば35秒台にはいつでも入れられると思っていました。
でもこの時ばかりは、目の前にあると思っていた35秒台が途方も無く遠いものに感じられたのでした。
結局この日は、最後の走行でかろうじて36秒台に入り全ての練習走行を終えることになりました。
【7/4(土)公式予選】
今回のエントラントをみる限り順当に行けば、トップ1・2は河村選手か小野選手、その次の3番手あたりが自分のポジションになりそうです。
予選は前半はエンジンの慣らしにあて、後半4ラップくらいでタイムアタックする予定です。
予定のタイムアタックに入るや否や37秒前半のをマークし、
「おっ、この調子なら36秒は簡単に入るな!」
と思ったものの、その後ペースが上がらず予選タイムは37秒1で、順位は順当に3番手、フロントローはゲットです。
勝負は決勝。
決勝でトップ1・2に喰らいついていければ結果は後からついてきます。
そのためには毎度おなじみのスタートミスは絶対許されません。
【7/4(日)決勝】
優勝を目標としている地方選手権ではスタートは最重要課題です。
このところ練習走行の前後にスタート練習は必ずやってきたし、練習ではそこそこいい感じのスタート感触を得ているので、心密かに「ロケットスタートで周りをびっくりさせてやろう!」と企んでいました。
とにかくスタートに集中。
今回のレースの全てがそこにあります。
スタート前進行が一通り終わって、最前列にいる自分達の前で旗を持っているオフィシャルが退場。
その直後にレッドシグナルが点灯して、このレッドシグナルが消灯したらスタートです。
いつもであれば、このオフィシャルが退場し始めたらスタートに備えてエンジンの回転数を上げ始めるのですが、今回はちょっと趣向を変えてみました。
「いつもエンジン回転数を上げ始めるタイミングが早すぎて、そこからスタートになるまでちょっとタイムラグがあるから、体が固くなって失敗してるのかもしれない。今回はオフィシャルが完全に退場してから、エンジン回転数を上げてみよう・・・」
この判断が完全に裏目に出ます。
オフィシャルが退場して、さあエンジン回転数を上げよう・・・と思ってアクセルは開け始めたら、今度はそのエンジン回転数が狙ったところでキープできません。
「あっ、あれっ?回転数がキープできない!あれっ、あれっ・・・」
エンジン回転計を睨みながらスロットル操作と格闘していると、突然!
「ウァーン・・・・」
なんと、グリッド上の自分を除く全車がスタートしたことを意味するエンジン音が鳴り響くではありませんか!
「うっ、うそっ!」
とあわててシグナルタワーを見ると、とっくにレッドシグナルは消灯して、電光掲示板には「GO!」という文字が映し出されています。
「・・・うそだあ・・・・」
なんと、我がレース人生最大級に集中していたはずのスタートで、肝心のスタートシグナルに一度も目をくれることなく、レースが始まってしまったのです。
一瞬何がなんだか分からないパニック状態に陥りながらもクラッチをつないでこちらもスタート。
すると出足は完全に遅れていたものの・・・って、シグナル見てなかったんだから当たり前ですが・・・1コーナーが迫ってくるにつれ、一歩先にスタートしていた小野君の姿が近づいてきます。
「おっ、いい感じ。これは1コーナーに並んで入れる・・・」
と挽回を確信した次の瞬間、第2の不運に見舞われます。
「あっ、あれっ??」
なんとギアを1速から2速にシフトアップしようとしたところで、2速にギアが入りません。
そこで一瞬もたついた瞬間に、後方の予選下位のライダーたち全車に抜かれ、最後尾で1コーナーに進入することになったのです。
2コーナーを立ち上がると、全くをもっていつもと同じ景色です。
はるか先を行くトップグループからずらーっと続く長い列の一番後ろに自分がいるという光景です。
一番後ろから見ていても、河村選手と小野選手のトップ2台がぐんぐん離れていくのが見えます。
絶望感と焦燥感に見舞われながらも、今は前を走るライダーを一台一台抜くことに専念するしかありません。
ところがしばらくして自分のバイクに問題が発生していることに気がつきます。
スタート直後に2速に入らなかった原因が明らかになったのです。
筑波の全日本の予選で起きたトラブルと同じ・・・オートシフターの動作不良、またしても本番でオートシフターが動作が不安定になってしまったのです。
これで苦手なマニュアルシフトでのレースを強いられます。
普段より動作が増えるため、どうしても集中力が削がれます。
まあ今回エンジンのセッティングはそこそこ決まったみたいで、ストレートでスリップに入ると前走車をなんとかパスすることができます。
レース中盤5位までポジションを回復したところで、ストレートの速いTZに後ろに付いてしまい、これがどうしてもパスできません。
バックストレートエンドでイン側に並びかけていくものの、思いっきりアウト側から被せられて接触寸前になり、立て直す間にこのTZとの差が大きく開きます。
「もしかしたら最後までこのTZを抜くこと出来ないかもしれない・・・だとしたら、この周がこのレース唯一のクリアラップか?」
ホームストレートを駆け上がる時点で、この前のTZとの差はかなりあります。
このTZががんばって走ってくれたら1周クリアで走れるかもしれない。
「お願いだから1周の間、前のバイクに追いつかないで・・・!」
なんて、本来であればとてもレース中に祈ることではありませんが、当初の目標である優勝が絶望的となったこの時点では自己ベスト更新くらいしかモチベーションがありません。
ところが必死の願いも虚しく半周も持たないうちにこのTZに追いついてしまい、コースの残り半周をこのTZに付き合わされます。
この状態でホームストレートに戻ってきたタイムが1分36秒2・・・ほぼ自己ベスト周辺です。
「まじかよ!引っ掛かってなければ絶対35秒台入ってたじゃねーか!」
次の周でなんとかこのTZを抜いて、次に前を行く3位の二瓶選手との差はバックストレート一本ないくらい。
ここから36秒台前半のタイムを連発して追い上げを計るものの二瓶選手には届かず4位フィニッシュとなりました。
優勝も自己ベスト更新もなりませんでしたが、昨日感じた35秒台への絶望感は完全に払拭されたレースをすることができたのがなによりです。
あとは9月の全日本SUGOで自己ベストを更新、そして10月のSUGO選手権最終戦では初優勝と勢いに乗っていきたいと思っています。
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