屈辱の全日本筑波予選落ち。 当初この全日本筑波で筑波のレースを最後にする予定でしたが、このままでは終われななくなってしまいました。 「もう一度本気で58秒を目指してみよう」 「そのためにやれることはすべてやる」 そんな思いで目標達成に向けて今シーズンの筑波の地方選手権に出場し続けること決断しました。 その再挑戦の第1回目となる今回のレース。 3週間前の全日本でのテンションをそのまま持ってきて、練習から59秒台を平然とマークしたいところでしたが、現実はそう甘くなく0秒台中盤での走行が続きます。 なんとか2本目の走行で1分0秒096というタイムをマークしますが、平均ラップとしてはやはり0秒台中盤という状況を打開できず苦しい展開となります。。 練習での平均ラップをあと0.5秒上げて、せめて59秒台後半から0秒前半でぐるぐる回れるくらいでないと、いつもと同じく「うまく走れて59秒台後半」という状況を変えることはできません。 逆にあと0.5秒速いペースで走れていたらかなり気分も乗ってくるという状態なのですが・・・。 <公式予選> 今回はいつもの筑波選手権のメンバーに加え、鈴鹿から遠征してきた全日本ライダーが1名、あと15歳の高校生ライダーが1名参戦してきました。 ちょっとこの二人のライダーの実力が未知数なので不気味な感じはありますが、基本的には地方選手権で負けるわけにはいきません。 「絶対負けられない!」というのはそれはそれでプレッシャーなのですが、それでも余程のことが起きない限り負けることはなさそうなレースです。 さて、予選が始まりコースインしてからゆっくりとペースを上げていきますが、思ったよりタイムが上がってきません。 やはり絶好調!という状態からは程遠い感じです。 8周目にようやく0秒台に入ってきて、そこから少しづつタイムを詰めて最後に1分0秒345というタイムで予選終了のチェッカーを受けます。 予選終了のチェッカーを受けてリーダーボードを確認すると一応自分のゼッケンが1番に表示されています。 タイム的には全く満足できませんが、「まあ、このタイムでポールが取れるんならこのレースはやっぱりいただきだな・・・」と少し安心して帰ってきたら仲間からの第一声・・・。 「あぶなかったなあ!!!」 なんと実は予選の最終ラップまで自分のポジションは3番手で、最後の最後でぎりぎり逆転してのポールポジションだったというのです。 そう、前述のちょっと不気味な二人のライダーはかなり手強い存在だったのです。 ここにきて俄然緊張感が増してきました。 自分は筑波をずっと走りこんできたライダーです。 言ってみれば自分の予選タイムはそれなりに頭打ち感のあるタイムです。 それに引き換えこの二人のライダーは筑波を走りこんでいるわけではありません。 この予選タイムは発展途上のタイムで、おそらく決勝はもっとペースを上げてくるでしょう。 「きっ、きびしい!!!」 予選前まで「余程のことがない限り負けない」と思っていたレースが、「かなり頑張らないと勝てない」というレースに様変わりです。 <決勝> とにかく今回直接対決になるであろうこの二人のライダーは若い。 二人の前を走ったとしても59秒台後半の走りでは絶対に振り切れないでしょう。 格好のペースメーカーになって、後ろにぴったりとついてこられてしまうのが関の山です。 レースの結果だけを考えれば、レース序盤はむやみに前に出ず二人の後ろで様子を見て後半で勝負!といきたいところですが、それでは「自己ベスト更新」という今回のレースの最大の目標を達成することが難しくなります。 選択肢はありそうにみえてやっぱり無いのです。 とにかく前に出てしゃかりきにペースを上げて振り切るしかありません。 そしていよいよレースがはじまります。 昨年末から感覚を掴みはじめたスタートは今回も普通にきまり1コーナーにはこの二人のライダーの後ろの3番手で進入。 昨年まで毎レース失敗を繰り返してきたスタートを無難にこなしたことに安心したのも束の間、この二人のライダーの1周目のペースが思いのほか速く、1周終わってコントロールラインに戻ってきたところで若干離されてしまいます。 「うわあ・・・、二人ともやっぱ元気いいなあ・・・」 まあ、こちらが前を走っても振り切れる気はしませんが、逆にこちらが後ろを走っている分には彼らに振り切られる気もしません。 ここからペースを上げて一旦離れてしまった二人との間を詰めるのも時間の問題・・・と思いきや、そこからその思惑を外した展開にかなり焦らされることになります。 自分のラップタイムが1分0秒前半に入り始めても、このトップを行く2台との差が一向に詰まってくる気配がないのです。 2台との感覚を詰めることができずにいたずらに周回数が過ぎていきます。 「やばい・・・このままだと二人に追いつけずにレース終わっちゃう・・・」 ここで一旦気持ちを落ち着けることにします。 「焦っちゃ駄目だ!焦ったらタイムは出てこない・・・」 不思議なもので、とくにここ筑波サーキットは気持ちが急いているときにタイムが出たためしはありません。 一旦前の二人の存在を忘れて、自分の走りに集中するように意識を切り替えます。 すると案の定ペースが若干上がってきました。 9周目に1分0秒114、10周目にようやく59秒949に入ったところでようやくこの2台のトップ争いを射程圏内におさめることができるようになってきました。 3台になったトップ争いの最後方が自分です。 ところがこれが一番厄介な展開でした。 目の前を走る二人のライダーはともに各コーナーで果敢に順位を入れ替えようとする激しいバトルを繰り広げています。 その激しいバトルの後方に位置する自分にはちょっと手を出すのが難しい・・・という展開です。 「どーすっかなあ・・・この前の2台もう少しバラけてくれないと仕掛けらんないなあ・・・」 しばらく手をこまねきながら後方で様子を見ていると、トップを走るライダーが1コーナーで転倒して脱落。 相手をしなければならないライダーが2人から1人に減ったことで、俄然展開が楽になりました。 労せず2位に浮上したその周のバックストレートエンドで、もう1台のイン側に仕掛けてトップに浮上。 つい先ほどまでの苦しい展開から一転してここから数周の間トップ走行を続けます。 ただこのあたりでトップに浮上した安堵感からか、レース序盤の焦った追い上げで使ってきた体力に不安を覚え始めます。 「あと残り何周あるんだろう???」 ホームストレートに戻ってきて残り周回数を確認しようとしたところ・・・ 「うわっ!やばい!残り周回数をボードに出してもらうの忘れてた!!!」 残り周回数を示すボードがでていないのです。 これが一段と集中力を奪うことになります。 「あと何周???もう終わりのような気もするし、もう5周くらいありそうな気もする・・・」 「ところで後ろのライダーは???真後ろには気配がないような気がするが、ちょっとは振り切っているのか???」 第2ヘアピンを立ち上がったところで後ろを確認しようとしますが、やはり気配はありません。 「大丈夫そうかな?」 とちょっと気が緩んだその次の周の第2ヘアピンで自分のイン側から飛び込んでくるバイクが視界に入ってきます。 「うわあ・・・真後ろにいたのかあ!!!」 とにかく残り何周あるのかわからない状況は変りません。 「出れるところで前に出ないとチェッカー振られちゃう!!!」 仕掛けるポイントは次のバックストレートエンド。 ところがそのバックストレート直前の第2ヘアピンで軽くミスって、ストレートエンドで前にでるのを失敗。 最終コーナーの立ち上がりで見たくも無いチェッカーフラッグが振られていて万事休す。 思いっきりアクセルを開けてその最終コーナーの立ち上がりで並びかけていきますがコントロールラインでホイール約半分50cmくらいの差で負けてしまいました。 勝ったのは15歳の少年ライダー。 その少年にデビューウィンさせてしまいました。 レース中盤のトップグループに追いついたあの周のラップでファステストラップはとりましたが、レースは負けです。 がっくりうなだれてあがる表彰台から、今回手伝ってくれた仲間を見下ろすと、その仲間たちも「なにやってんだよお・・・」っていう感じの顔でこちらを見ています。 その後正式結果を見ると、トップとのライダーとの差は0.000秒。 つまりタイムとしては1000分の1まで同タイムだったわけです。 突如として筑波選手権に現れた15歳の少年ライダー、ここからこの先この少年と一騎打ちのシーズンが始まります。 ・・・NEXT・・・ Copyright (C) 2000 駒津歯科医院 All rights reserved. |