SUGOの全日本が終わってから一息もすることなく、マシンを鈴鹿仕様に変更して、水曜の晩から鈴鹿に向かいました。 9月末にある今年最後の全日本鈴鹿に向けての最終調整のため鈴鹿選手権に出場するのです。 SUGOや筑波がホームコースであるのに対して、鈴鹿は"どアウェイ"です。 全日本鈴鹿では筑波・SUGO以上の苦戦が強いられるであろうことは言うまでもありません。 しかしながらこの鈴鹿選手権は一発狙っています。 現時点での鈴鹿の自己ベストは1分23秒1に対して、鈴鹿のエリア選手権のコースレコードは1分18秒台。 その差5秒近くはありますが、新品タイヤを履いてレース本番テンションで走ったらまだまだ詰まりそうな気がしています。 密かな狙いはずばり優勝&コースレコードです。 身の程知らずかもしれませんが、そのぐらいの気合で「聖地・鈴鹿」に殴り込みといった感じです。 さて、今回も少し余裕を持って、公式練習の前日に鈴鹿入りしました。 レースウィーク前日ということで、ひっそり静まりかえったサーキットを想像していたのですが、この日は全日本のブリジストンタイヤユーザーのための占有走行があり、パドックの雰囲気はバリバリの全日本モードです。 これはラッキーでした。 全日本トップライダーたちの鈴鹿の走りを外からじっくり観察するチャンスです。 早速S字コーナーの観客席から、その走りを観察し、トップライダーたちのアクセルワークやライン取りなどを目に焼き付けます。 明日からいよいよレースウィークが始まります。 【9月2日 公式練習】 7月の鈴鹿夏合宿と同様、うだるような暑さの中で公式練習が始まりました。 昨日のトップライダーの走りに、自分の走りのイメージを重ねながら走行していきます。 やはり昨日の見学は効果があったようです。 いままでの自分の走り方で根本的に間違っている部分を発見しました。 その甲斐あってか、一本目で早々に自己ベストを更新して、1分22秒台をマークします。 2本目の走行でも、そこからさらにタイムを詰めて、1分21秒台に突入。 目標達成に向けて、良い感じでペースが上がってきています。 【9月3日 公式予選】 鈴鹿選手権は最近の地方選手権ではすっかりめずらしくなってしまった2DAY開催です。 土曜に予選、日曜に決勝というパターンです。 日曜にまとめて予選・決勝を走る1DAYのレースは、何かとどたばたしてしまいますが、2DAY開催だとじっくりレースに取り組むことができます。 ただ今回も、日曜日が台風の影響で天気予報が芳しくなく、この日が全日本前に鈴鹿をドライで走る最後のチャンスになる可能性が高く、この日にある程度タイムで結果をださないことには、ちょっと追い詰められる感があり、それを意識すると大分緊張してしまいます。 この公式予選では初めて鈴鹿を前後新品タイヤで走ります。 最低でもこの辺で一気に2分19秒台に入れたいところですが、現実はそう甘くはありませんでした。 予選開始後、数周で1分21秒台で昨日の自己ベストをコンマ数秒更新しますが、そこからタイムが上がってきません。 そうなってくるとどんどん体に力が入ってきてしまって、特に切り返しが連続するS字区間で走りがとっちらかってきます。 予選終了3分前に、気持ちを切り替えるためと、クリアラップを取るためにスローダウンし、最終コーナーから全開で立ち上がって最後のタイムアタックに入ります。 とにかくこの予選は終始力みすぎてしまっていたので、この最終ラップは必要以上に攻めずに、むしろ丁寧に走ることを意識してみることにしました。 1コーナー・S字・デグナーコーナーを立ち上がるまでは、良い感じでリズムを取り戻すことができたのですが、ヘアピン手前で遅いライダーに引っ掛かってしまいます。 若干タイムロスをした自覚はあったのですが、そのままこのライダーをパスしてタイムアタックを継続。 「お願い!せめて2分20秒台出て・・・」 という願いも虚しく最後のタイムアタックも2分21秒台。 正式結果で2分21秒441・予選11位という結果に終わってしまいました。 予選トップ3人が2分19秒台をマーク。 その差2秒といったところです。 本来であれば、思った以上の惨敗ぶりに落胆するところだったのですが、今回は良い材料を得ることができました。 鈴鹿サーキットは、コースを4つの区間に分けたそれぞれの区間タイムをTVモニターから知ることができるのです。 その区間タイムをチェックしてみると、コース前半区間では2分19秒台をマークしている予選上位3人のライダーと全く遜色がないタイムを安定して出していたことがわかりました。 自分の中では「とっちらかっていた」と思っていた区間でしたが、この区間はまずまずいけていたようです。 そして気分的に楽になれたのが、予選の最後のタイムアタックで力を抜いて楽に走った時の区間タイムが一番良かったということです。 そしてこの周、遅いライダーに引っ掛かった区間のタイムが、それ以外の周よりコンマ5秒ほどロスしていたので、ここで引っ掛かっていなければ1分20秒台の後半は出ていたこともわっかりました。 とりあえず前半区間は力まず普通に走れば2分19秒台くらいまでなら問題なくいけそうです。 問題は最終区間です。 130Rから最終シケインの通過タイムが、トップ3人から1秒弱遅れています。 たしかにこの区間は、コースの最終区間ということもあって、自分でも攻めすぎて失敗しないようにセーブして走っている区間です。 とはいいつつも、いきなりこの区間だけで1秒詰められるかどうかはわかりませんが、長い鈴鹿のコースの中で、とりあえず頑張らなければならない部分を、この区間だけに絞ることができるというのは助かります。 明日の決勝、もしドライで走れればまだまだタイムは詰められそうです。 しかしながら天気予報は無情にも降水確率90%以上。 あともう少しタイムを出してから、今月末の全日本鈴鹿を迎えたかっただけに不安を感じずにはいられません。 【9月4日 決勝】 天気予報によれば降水確率90%以上。 朝から空は厚い雲に覆われ、雨が降ったり止んだりを繰り返しています。 しかしながら昼近くになってくると、若干ながら雲は薄くなり空は明るくなりかけてきます。 昨晩は完全に諦めていたのですが、奇跡的にも決勝はドライコンディションでレースをすることができました。 昨日の予選は2分21秒台。 ただ、最終ラップで引っ掛からなければ2分20秒台は間違いなく入っていた。 となれば、この決勝は最低目標2分19秒台、一発狙うは1分18秒台・・・という感じになります。 いよいよ決勝スタートです。 ここで一つ事件が起きます。 レースを始めてから10年近く・・・2001年に1回成功しただけで、それ以外はことごとく失敗し続けてきたスタートが、この日4年ぶり2回目の成功を成し遂げるのです。 予選11番手、3列目からスタートして、8番手で1コーナーに進入。 1コーナーの中で一台パスして7番手に浮上します。 今までのレースでほとんど経験したことのない、スタート直後にトップのライダーが手の届くところにいる状況です。 「こんな貴重なレースを転倒などで無駄にしてはいけない・・・」 とちょっと慎重に走ろうとしたところで、1台にパスされて順位は8番手に後退。 しかしながらレースはまだ始まったばかり、いつもの最高尾からの追い上げレースに比べれば、まだまだ夢のようなポジションにつけています。 1周を終えて、トップ3台が若干引き離しに掛かっていて、その後方に3台から成る4-6位の集団が形成されています。 そこからちょっと離れて1台いて、その直後が自分です。 今この目の前にいるライダーさえいなければ、その前の4-6位集団にはすぐにでも追いつけそうな感じなのですが、なかなかこのライダーを抜くことができません。 2周目を終えて、早くも1分20秒6という自己ベストをマーク。 ところがスタート直後のこの時点で、フロントサスペンションに問題を抱えます。 1コーナー、ダンロップコーナー切り返し、デグナーカーブ一個目といったところで、コーナー進入とともに「カンカンカン・・・」とサスペンションがフルボトムしてしまうのです。 全日本SUGOでもその兆候があったのですが、ここ鈴鹿でも同じ問題を抱えてしまいます。 昨日の予選まで全く出ていなかった問題がよりによって決勝で出てしまいました。 これでは思いっきり攻めることはできません。 それでも3周目、やはり2分20秒台で帰ってきます。 昨日の区間タイムの分析どおり、最終区間だけは前を走るライダーに若干離され気味になりますが、その遅れは1-2コーナーであっさり挽回できます。 そこから先のS字区間からは完全にドン突き状態です。 ただ、その前を行く4-6位集団との距離も詰まってきているので、時間の問題で追いつけそうです。 ヘアピンを立ち上がって次の新シケインで前のライダーに追突しそうになり、そこで若干離れますが、その先のスプーンコーナーの立ち上がりでは真後ろについてばっちりスリップストリームに入り込むことに成功します。 バックストレートで抜ききれるかと思ったのですが、思ったほどスリップが効かず、その先の130Rには自分がイン側で並んで侵入していくことになります。 それほど無理をしたつもりはなかったのですが、このイン側を取った130Rの進入でバイクを倒し込んでいった瞬間、「カンカンカン・・・」。 またしてもフロントサスのフルボトムに見舞われて、バイクを倒し込むきっかけを失います。 「やべっ!ぜんぜん曲がれない・・・」 そのままコーナーリングを諦め、直立させてまま推定約200km/hでコースアウト。 コースアウトする寸前に、目の前を先ほどの前走車が通り抜けていって、間一髪激突を避けることができたのがせめてもの救いでした。 130Rのアウト側がしばらくアスファルトになっていることにも助けられ転倒は免れたのですが、コースに戻る際にリアタイヤが外れているかのような違和感を感じます。 またフロントサスがいたるところでフルボトムしてしまうことを考えれば、これ以上のペースアップは危険であると判断して、そのままピットロードに戻ってリタイヤすることにしました。 レース自体は残念な結果となりましたが、来る全日本鈴鹿に向けては収穫の多いレースになりました。 もう2分19秒台はすぐにでも入れられそうな雰囲気です。 当面の目標は2分18秒台。 一発狙うは2分17秒台といったところです。 次の全日本で2分17秒台が出れば、筑波・SUGOといった2つのホームコースでも成し遂げることのできなかった全日本のポイント獲得も見えてきます。 20日後の全日本鈴鹿に向けていよいよ臨戦態勢に入ってきました。 ・・・NEXT・・・ Copyright (C) 2000 駒津歯科医院 All rights reserved. |