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たったひとつの選択ミス・・・(2005年8月 全日本選手権SUGO RD)

【8月26日 公式練習】

いよいよ今シーズン最大のメインイベント・・・全日本選手権SUGOのレースウィークに突入です。

SUGOは自分にとってのホームコースです。

今年自分がエントリーする3つの全日本の中で最も好成績が期待できるサーキットなわけです。

一方で全日本には「スポット参戦ライダーはホームコースの全日本で実力を発揮せずに低迷する」というジンクスもあります。

ホームコースで開催される全日本という大舞台で「一発ぶちかましてやろう!」という意気込みが強すぎて、それが空回りしてしまうのだと思います。

現時点での自己ベストは先月のSUGO選手権でマークした1分35秒02。

今回の目標は1分34秒台は当たり前、あわよくば1分33秒台。
そして決勝レースで14位以内に入り、全日本ランキングの基準となるポイントの獲得をすることです。

さて、今回のレースウィークですが、そんな事前の意気込みに水を注すかのように、大型の台風11号が本州に近づいてきます。

そして、この台風は公式練習のあるこの日に本州上陸となり、その影響を受けてサーキットは大雨です。

このまま土日も雨が降り続けるようでしたら、当然雨の中出走するところなのですが、土日の天気予報は台風一過の晴れ予報。

好条件で行なわれるであろう予選・決勝を目の前にして、余計なトラブルを避ける為にこの公式練習の出走はキャンセルすることにしました。

今回のSUGOは、今までとミッションプランを変更してバイクを持ち込んでいます。

本来であればこの新しいミッションプランは3週間前に行ったSUGOの練習で試す予定でしたが、そのときの練習では雨のためテストすることができませんでした。

なのでこのレースウィークの公式練習でテストをしようと思っていたのですが、結局この日も雨のために試すことができず、公式予選でぶっつけ本番で試すことになります。

まあ、「おそらくこの新しいギア比はタイムが出るに違いない!」と思っていたので、この時点ではあまり気にはしてなかったのですが、これが今回のレースの行方を大きく左右していくことになるのです。

【8月27日 公式練習】

昨晩遅くまで振り続けた雨も上がり、目が覚めると待ち望んでいた青空が広がっています。

路面はまだ濡れていますが、公式予選の始まる昼頃には完全に乾くと思われます。

予想最高気温も30℃を超えているので暑い1日になりそうです。

通常全日本の公式予選は午前と午後に2回あるのですが、今回の公式予選は55分x1回という変則的なものです。

転倒やマシントラブルがあれば、その時点で終了です。

予選時間中に一度タイヤの交換と燃料補給、そしてライダーの休憩もしなくてはなりません。

初めての予選形式のため作戦を練ります。

イメージとしては
最初の20分・・・タイムアタック
その後ピットインして、10分間でタイヤ交換&燃料補給、ライダーは休憩
最後の25分・・・タイムアタック
という感じになります。

そしていよいよ公式予選が始まります。

今回は前日の公式練習が雨で走れず、この公式予選で始めてバイクにまたがるわけです。

しかもその公式予選は1回のみ。

言ってみれば1本目の走行からMAXのテンションで走らなければならないわけですが、それこそが全日本の醍醐味です。

コースイン後すぐにフロントサスペンションに違和感を感じます。

コースのいたるところでサスペンションがフルストロークしてしまう、いわゆる「底付き」という現象が多発しています。

ブレーキングからバイクを倒し込んでいくところで、サスペンションの限界を超えてしまって「カンカンカン・・・」という衝撃が伝わってくるのです。

サスペンションが一番仕事をしなければいけない部分で、全く仕事ができていないという状態なので、このままで良いわけがありません。

3周目に1分36秒台に入ったのを確認した次の周にピットインして、フロントのセッティングを変更して再度コースイン。

コースインした次の周のタイムが1分36秒28。

あっさり36秒台前半が出ているのでライダーの調子は悪くなさそうです。

そこからいよいよ全開のタイムアタックに入っていくのですが、そこからのタイムが

1分36秒24
1分36秒67
1分36秒17

と36秒台からどうしても抜け出すことができません。

思い起こせば前回のSUGO選手権の予選では、路面の一部が濡れていていたにもかかわらず1分35秒8が出ているし、8月8日の練習走行でも本気の全開走行に入る前に1分36秒0が出ています。しかもこれはどちらも中古タイヤで出したタイムです。

それに引きかえこの予選は新品タイヤ&フルタイムアタックという状況で、それにもかかわらずタイムで出てこない。

焦りは募りますが、ここで作戦上予定していたピットインをします。

もしかしたら先ほど変更したフロントサスのセッティングが良くないのかもしれません。

そこで再度別の方法で底付き対策のセッティングを施してみます。

予選時間残り25分となったところで再度コースイン。

タイヤが交換されているので2周ほど様子を見ながらタイヤを暖めてから最後のタイムアタックに入ります。

しかしながらこの辺りからアクセルを操作する右手に疲労感を感じはじめ、その疲労感を振り払うかのようにタイムアタックを続けるのですが、その走りは明らかに集中力を欠いています。

1分36秒38
1分36秒35
1分36秒54
1分36秒57

まるで悪い魔法に掛かったかのように1分36秒から抜け出せません。

「こんなタイムを出す為にいままで準備してきたわけじゃない・・・!」

最後の力を振り絞って走ったタイムも

1分36秒13

ここで完全に集中力が途切れました。

あれだけ頑張って36秒しかでないんじゃ仕方がありません。

この時点の疲労からしてもこれ以上のタイムアップは望めそうにありません。

予選時間はまだ数分残っていましたが、ここでタイムアタックを断念、ピットロードに入ることにしました。

公式結果は予選21番手。

前日が雨だったせいか、他のライダーの予選タイムもそれほど高くはなかったようですが、それにしても自己ベストから1秒落ちのこの予選結果は燦々たるものです。

改めて振り返ってみると、ライダー自身の調子は悪くないような気がします。

コースの外から見ていた昔の仲間からは「1コーナーを進入していく雰囲気は、全ライダーの中で"中の上"」なんていうコメントもあったりします。

うまく走れない気がする部分は4コーナーと最終のシケイン。

今回の予選でぶっつけテストになってしまった新しいギア比の影響をもろに受けているコーナーです。

そこだけで1秒も落としてるとは思えない些細なレベルではあるのですが、少なくともこの新しいギア比では大きくタイムアップできないことは確認できたので、明日の本番に向けてギア比を元に戻すことにしました。

この時点でのライダーの心境は?といいますと、実は案外すがすがしい感じすらしていました。

全日本という大舞台でライダーのテンションはMAX。
今回のレースに向けてエンジンは完全オーバーホール済みで一番良い状態にある。
若干気温が高すぎるきらいはありますが、コースは完全ドライ。
そして新品タイヤを2セット使用してのフルアタック。

これだけの条件がそろって1分36秒しか出ないということはいよいよこの辺りが自分自身の限界地点。

決勝ではもうちょっとがんばって1分35秒台には入るかもしれないが、ある意味前回のSUGO選手権でマークした1分35秒フラットというのは実力以上のタイムだったのかもしれない。

明日の決勝はあまりタイムを気にせず、全日本という大舞台を楽しもう。

気持ちよく走って、それで出てきた結果がどんなものであれ自分の最終形として受け止めよう。

なんかそんな心境になれていたのです。

【8月28日 決勝】

真夏を思わせた昨日の天候から一転、東北のSUGOは秋の気配を感じる朝を迎えました。

想像以上に低迷した予選のおかげ?で変な気負いがなくなり、とてもレース前とは思えないほどリラックスしています。

【フリー走行】

全日本では決勝日当日の朝一番に15分のフリー走行があります。

いつもであればこのフリー走行は軽く流して目と体の慣らし程度に走っているのですが、今回はあまりに予選でタイムが出なかったのでもう一度ある程度がんばって走ってみることにします。

まあ、この朝フリーで転倒してバイクのダメージが大きく決勝に出走できなくなっても今回の調子であればあきらめもつきますし・・・。

コースインして数周タイヤを温めながらいよいよペースアップしようとすると車載のラップタイマーが作動していないことに気付きます。

ライダーにとって自分が走っているペースがわからないというのは非常に走りづらいものです。

さらに目の前には昨日の予選で自分よりもタイムの出ていないライダーが走っていてクリアラップが取れません。

仕方なく一度ペースを大きく落として前方をクリアにしてから、再度ペースを上げます。

1周クリアラップで走った後、また前車に追いつきそうになったので、再度ペースダウンし間隔を確保してから、もう一回ペースアップ。

15分という短いフリー走行では、このペースアップが最後の周回になりました。

途中SPインコーナーでスローダウンしている別のバイクに引っ掛かって、レコードラインを通れずにタイムアタックは失敗。

またまた今ひとつ乗り切れずにこの走行も終了してしまいました。

「まあ、それなりにペースを上げられた周もあったからなあ・・・。これでやっぱり1分36秒前半とかしか出てなかったらいよいよ今回はだめだなあ・・・。でも昨日の公式予選ほどは頑張ってなかったし、なんたって中古タイヤだからなあ、やっぱりいいとこ36秒台って感じかな???」

そんなことを考えながらパドックに戻ってくると、嫁さんがニコニコしています。

ちょうど前回のSUGO選手権の予選でそうそうたるメンバーの中でフロントローを獲得したときと同じような表情をしていたので、「ああ、もしかしたら35秒台には入ったのかな?」とは思ったのですが・・・。

嫁さんの開口一番。

「入ったね!・・・34秒」

ええっ・・!!!

なんと最後の周、SPインコーナーで他車に引っ掛かってタイムアタックし損ねた周に1分34秒9の自己ベストをマーク。

それ以外の周も、ペースを上げているときは35秒前半で走っていたというのです。

「なんてこった!昨日の予選は一体何だったんだ!」

昨日の公式予選でマークしていれば予選16番手を獲得しているタイムです。

いやSPインコーナーで引っ掛かっていなければ、そしてタイヤが新品であればあとコンマ5秒は詰められる。

結局のところ全ての元凶は、今回初めて試した新しいギア比でした。

これを元に戻しただけで、あっさり自己ベスト更新です。

レースウィーク最終日にして、ようやく自分の全日本が始まった・・・という感じです。

【決勝】

朝のフリー走行で自己ベスト更新したので、昨日の予選後からのリラックスムードは一転し、再度超戦闘モードに切り替わります。

昨日の予選結果を見る限りトップの10台くらいは絶対にかなわない相手ですが、それ以下のライダーには負けてる気がしません。

とにかく問題はスタートです。

なにしろ予選が低迷したので、自分のグリッド周辺には自分より速いライダーはいません。

予選で34秒台を出しているライダーたちは2列ほど前のグリッドにバイクを並べています。

スタートで一発飛び出して、せめてそのレベルのライダーたちとバトルしないことには、それ以上の結果を望むことができないわけです。

スタート前チェックが始まり、1周のサイティングラップの後、グリッドにつきます。


決勝グリッド・・・予選で34秒出てればあと2列も前だったのに・・・

グリッド上での選手紹介が終わって、もう1周ウォーミングアップラップを走って再度グリッドについてから、前方のオフィシャルが退去、レッドシグナルが点灯し、そのレッドが消灯。

いよいよ決勝レースがスタートしました。

人生最大級に期待していたスタートはいつも通り失敗。

後ろの列にも完全に喰われてほぼ最高尾で1コーナーに進入。

その後の2周で2台抜いて少しずつポジションを挽回していきます。

序盤はなにしろフルタンクのガソリンの重さが気になります。

また序盤でペースを上げすぎると、今年のダンロップのフロントタイヤは消耗が激しいのと、何しろ人間の体力も最後まで持たなくなるので、序盤はペース配分を考えて走らなくてはなりません。

この辺は普段の地方選手権の倍近い周回数を走る全日本ならではのレースの組み立てです。

その後6周目に1台、7周目に1台を抜いて、当面の集団の頭に出ること成功、さらに4〜5秒ほど前方を走るバイクを追いかけます。

「絶対に追いつける!」

ここから渾身のペースアップを図ります。

ここから数周に渡って全力で前を追いかけるのですが、なかなかその間隔を縮めることができません。

いや、ほんの僅かながら縮まってきているのはわかるのですが、思ったほどではない・・・という感じでしょうか?

若干展開が膠着しはじめたところバックストレートエンドの馬の背コーナーへのブレーキングでミスをしてオーバーラン。

からくも転倒は避けられたものの、ここまで渾身の走りで少しずつ詰めてきた間隔を再び広げてしまったことで、今まで張り詰めてきた集中力を切らしてしまいました。

残り7周くらいからガクっとペースが落ちだし、その後チェッカーまでに2台に抜かれて結局19位でレースを終えました。

自分としては朝のフリー走行よりも数段頑張った走りをしていたつもりだったのですが、レース中のベストラップは35秒3でベスト更新はなりませんでした。

今となってみれば悔いが残るレースです。

レースで「たら・れば」言い出したらキリはないのですが、

・もし8/8にあともう1本練習できていたら・・・
・もし金曜日に雨が降っていなかったら・・・
・もし土曜日の公式予選がいつものように2回あったら・・・

この3つのうち、ひとつでもそうなっていたら、失敗した新しいギア比で予選を走らずに済んでいたのです。

これで今年最大のメインイベントは終了してしまいましたが、残るレースはあと4つ。

その中には来月の鈴鹿の全日本選手権も含まれます。

ライダーがホームコースで空回りするのが全日本のジンクスなのであれば、鈴鹿の全日本は完全なアウェイのレースです。

ダメで元々の開き直りの勢いで、今回の全日本での悔しさを晴らしてきたいと思います。


闘い済んで日が暮れて・・・パート2

・・・NEXT・・・

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