同じ7月にもうひとつ「勝つため」にエントリーしたレースがあります。 エリア選手権のSUGO大会です。 このレースは、いつものトップ3が同日開催の全日本選手権もてぎ大会に出場しているため欠場、前回4位の小野君と前回5位の僕が、どう転んでも優勝候補ということになります。 旧友小野君との一騎打ちを制すれば初優勝が転がり込んでくる。 初優勝はもちろんのこと、小野君との一騎打ちも楽しみで仕方がない。 そんなレースであったのですが、ここでもまた昨年まで全日本をフル参戦していた千葉選手が想定外のエントリー。 しかし千葉選手にとっては久々のレースということもあり、今度こそ2人まとめてやっつけて初優勝といきたいところだったのですが・・・、今回の最大の問題は天気でした。 天気予報はレースウィーク3日とも雨の予報なのです。 何を隠そう雨のレースは大の苦手です。 しかし、全日本の本番でも雨が降る可能性も十分あるので、ここはウェットレースの絶好の練習と割り切って挑むことに頭を切り替えます。 金曜は雨に加え、濃霧が発生し走行できず、土曜に2本だけの雨練習となります。 (雨は苦手と思ったライダーの負けだ。自信を持ってコースを攻めよう!) そう自分に言い聞かせてコースインするも、2周目くらいでコーナーでの倒しこみと同時にリアタイヤが大きく滑り、あわや転倒という危ない場面に遭遇し、それからはおっかなびっくりの走行が続きます。 ドライの路面ではいつもぶっちぎってやるライダーたちにも、このウェットの路面では軽々と抜かれてしまう。 それでも走行を重ねるごとに少しづつラップタイムは上がっていき、このまま予選・決勝がウェットコンディションになれば、全日本本番前に少しでも雨の苦手意識を克服できるかもしれません。 結局予選までは完全にウェット。 まだまだ人並みのタイムには程遠いが、決勝をもう一回ウェットで走ればなんとか雨の走り方をマスターできると思っていた矢先、雨は止み始め路面がどんどん乾いていきます。 完全に乾いてくれるのであればそれに越したことはありません。 予選順位は低迷したが、完全なドライ路面になればやはり千葉選手・小野選手に絡めるライダーは自分以外にはありえない。 しかし決勝スタート時のコンディションは、ところどころに濡れた路面が残るハーフウェット。 周りのライダーは全員スリックタイヤを準備していて、自分もとりあえず迷うことなくスリックタイヤで決勝出走の準備をします。 しかし、決勝グリッドにならぶためのサイティングラップで路面の状況をみて、闘争心が吹っ飛んでしまうのです。 1コーナー、3コーナー、ハイポイントコーナー、レインボーコーナー、馬の背コーナー、110Rといたるところに濡れた状態が残ってしまっている。 (この状況をスリックタイヤでレースするのは危険すぎる) (周りもきっとそうおもっているに違いない) (俺にとっては2ヶ月後に全日本選手権を控えている) (こんなコンディションのレースで転倒して、怪我でもして全日本出場を棒に振ったら悔やんでも悔やみきれない) (なにがなんでも完走だ。絶対に転ばないで帰ってくることが何より最優先だ!) (こんなコンディションで転倒して、その年のレースシーズンを棒に振ったライダーを何人も見てきている) いろいろなことが頭をよぎります。 そして決勝スタート。 1周目、やや濡れたシケインを通過して、ホームストレートに駆け上がるべくアクセルを全開にすると、大きくリアを滑らしあわや転倒という場面を間一髪でしのぎます。 滑ったところはドライ路面であったが、やはり濡れているところを通過すると、その直後はタイヤが水滴がついて滑りやすくなる。 かつて小野君がそのようなことを言っていて、そのときは「そんなことあるかなあ?」と意識していなかったことであるが、現実に体験してみると非常に恐ろしい現象です。 これでなおさら気持ちにブレーキがかかってしまいました。 (絶対に転べない、絶対に転べない・・・) それだけを言い聞かして、ただただひたすら完走を目指して安全運転を続けます。 トップグループはあっという間に見えなくなり、それに取り残された集団の最後尾につけるが、その集団からもどんどん離されていく。 (とにかくこのレースで散るわけにはいかない。絶対完走。今日はそれだけだ) チェッカーまでこんなに長く感じたレースはありません。 なんとか無事にチェッカーを受けたときは、無事完走できたことに心から胸をなでおろしました。 しかし、そのレースを強豪千葉選手を制して小野君が優勝したことを知らされたあたりから、猛烈に悔しさがこみ上げてきました。 悔しさというか、腹立たしさというか・・・とにかく自分が情けなくて仕方がない。 レースの結果が悔しいのではありません。 スタートする前から戦意喪失していた俺が、良い結果を残すわけが無いからです。 それよりも、スターティング・グリッド上で戦意を失ってしまった自分自身に腹が立って仕方が無い。 (みんなもそうだと思っていたけど、戦意喪失してたのは俺だけじゃないか!) そう考えると、自分に全日本選手権出場の権利などあるわけがない。 レースをする以前の問題です。 残り少ない貴重なレースで、こんな情けないレースをしてしまうなんて・・・。 レースが終わって数日たってもこの腹立たしさは収まることがありませんでした。 しかし、この腹立たしさは、この次のレース・・・全日本SUGOで解消するしかありません。 不完全燃焼で終えるレースほど情けないものはない。 この反省を生かすためにも、この悔しさを晴らす為にも、全日本SUGOで力の限り走り抜くことを決意するのでした。 ・・・NEXT・・・
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